全くもってコンパスの長さが違う癖に、何気なく歩調を合わせてくれるところとか

本当に真実、ごく希に見せる泣きたくなるくらい優しい微笑とか

脳内に深く染みこんでいく低い声とか

普通の人よりも遙かに厚く広い胸板だとか

私が知るより何倍も重い何かを背負う背中とか

兎に角、貴方を構成する全ての要素が愛しくて愛しくて堪らないのですが




「其処の所どうなんですかね、庵さんは」




さして興味のない雑誌をぱらぱら捲りながら、すぐ横に座る愛しい人に問いかける

当の本人はと言うと、ベースを爪弾く指は止まり視線だけでコチラを見ると



「どういう意味だ」

「私は庵さんのことが大好きだけど、庵さんはどうなのかなっていう意味」

「ふん、下らん」



例によって例の如く、冷え冷えとした反応で一蹴される

何処までも予想通りの返答に小さく笑みが込み上げてきた



「ふふっ」

「何を笑っている」

「いや、くだらないとか言いつつちゃんと答えてくれるんだなー、と思って」



ほら、こんな小さなこと一つ一つが

こんなにも大きな幸せになる



「・・・・

「はい?」



気付けば抱えられていた筈のベースは壁へ

丁度空いたその膝の上には私の体が

そして、そこから伝わる服越しの温もりが




(ああ、やっぱり・・・・)








否応なしに、私はこの人を愛してる










(後書き)

優しいいおりんが書きたかったんです

呼んでて暖かくなる夢が書きたかったんです

見事に撃沈・・・・・orz

人生って甘くないですね・・・・・・・