屋上へと続く暗く狭い空間
半ば錆が回った鉄製のドアに手を当ててゆっくりと押せば、視界一杯に青く晴れ渡った空が広がった
突然降ってくる日光に瞼の裏が痛い
その痛みに耐えようと閉じた目を薄く開くと、そこにはフェンスに寄りかかる人影
逆光で顔など見えるはずもないが、見なくとも大凡の想像は付く
この天気にこの時間この場所を陣取っている人物は、の知る中で一人しかいない
「学生なら学生らしく学生の義務を果たすべきだと思うんだけどそこんとこどうなんですかね、永遠の高校生な草薙さん?」
「・・・・テメェ、喧嘩売ってんのか?」
「あら怖い、プロなんだから素人相手に凄まないでよ」
不機嫌さ丸出しの声色に軽く戯けながら隣まで歩く
その様子がお気に召さないのか、渦中の草薙京はフンと鼻を鳴らした
手には愛煙家らしくしっかりと煙草が挟まれ紫煙を燻らせている
「しっかし、学校来てまで吸う程美味しいの?煙草って」
右に習ってフェンスに寄り掛かり軽く目配せながら問う
ガシャリと錆び付いたフェンスが不平を告げた
「・・・・知りてぇか?」
ニヤリ
そう擬音が付きそうな笑み
瞬間、は墓穴を掘ってしまったと悟る
この表情を見て何も起こらなかったことは今まで只の一度もありはしない
「あー・・・、丁重にお断りします。ほら、私健康志向だし」
その場で出来るだけの笑みを取り繕いながら否定するが、きっとそれはかなり引きつっていたに違いない
ガシャン
背を預けたフェンス、顔の丁度真横辺りに煙草を挟んでいない方の手が置かれる
至極自然な動作で向かい合う体制になると、ニヒルな笑みが浮かべる京の顔が近づいてきた
「遠慮すんなよ・・・・」
低く耳元で囁かれ、背筋にゾクリと何かが走る
気付けば大きな掌に顎を捕らえられ軽い力で上に向かされる
始めに感じたのは得も言われぬ苦みだった
唇が合わさったと思えばあっという間に舌を絡め取られて、息継ぎすらも与えられずに翻弄される
ああ、この苦みは煙草の味なんだ、と、酸素が足りずにボンヤリしてきた頭の隅で考えるが、それもすぐに霧散した
そのまま煙草の味が薄れるまで続けてやっと解放された時には既に気を失う一歩手前だった
「・・・っは、し、死ぬかと思った・・・・」
圧倒的に足りない酸素を必死になって取り込もうと何度も深呼吸を繰り返す
熱い口付けを交わした後にしては些か色気がない発言かもしれないが、実際そう思うのだから仕方がない
ようやく呼吸も鼓動も落ち着いて、文句の一つも垂れようと見上げれば先程と変わらぬ表情
「どうだったよ、煙草の味は?」
クツクツと喉で笑う京の顔は悪戯を成功させた子供のようで酷くむかつく
「苦い。まずい」
率直な感想を隠しもせずに吐露すると、京は「まだ、ガキだな」と笑みを深めて、
今度は触れるだけのキスをした
(後書き)
やっと学祭が一段落して何とかUP
どうでも良いけどSNKは京を卒業させてやる気はないんだろうか・・・