今宵も、白銀の月光を浴びて彼がやってくる

夏の噎せ返るような熱波も過ぎ去り、ようやっと過ごしやすさを取り戻した今日この頃

中天に昇る月、漆黒の夜空に張り付く薄っぺらい高層ビルの群れを眺めながら人を待つのが日課になっていた



「来た・・・・・」



誰にでも無く呟いた声は、耳が痛いほどの静寂に響いて消える

独りでに持ち上がる口角が、彼がそこに来ることを待ち望んでいた自分を如実に表していた



「悪いな、今日も待たせちまったか」



現れた彼もまた皮肉気に口の端を持ち上げる

ビリビリと空気を振るわす殺気、膨れあがる切迫感は呼吸さえままならない程息苦しい


「別に気になんかしてないから安心して。待とうが待つまいが、結果は変わらないもの」


あはは、と声を上げて笑ってみせると彼の目が細められる

その瞳には、最早殺意の念しか見受けられない


「・・・じゃ、お喋りは止めにしてそろそろ始めましょうか?志貴」


開始を告げて地面を蹴る

一瞬にして数メートルの距離が開き、お互いに見つめ合った

この戦いは、ほんの一瞬、瞬きの間に終わる

それは何も、彼、もしくは私のどちらかが極端に弱いとかそう言う次元の話ではない

卓越した者同士の戦いは、戦闘という名の時間の無駄な弛みを極限まで削減して結果のみを残す


「ああ、今日こそはその首、俺が貰い受ける」

「えぇどうぞ。まあ、出来ればの話だけど」


緊張が最高潮まで達する

心音は高く、その脈動は何もかもを飲み込むような夜闇に溶けて波紋のように広がる

二人の間を一陣の風が通りすぎた








「・・・・・・・くっ!」



軽くうめいてがくん、と志貴の膝が地に落ちる


「流石ね、志貴。また強くなってる」


じんわりと痛みを伝える患部に指を這わせる

指先を塗らす赤い命の液体に思わず口角が歪んだ


「ひょっとすると、明日にでも私の首は貴方の物になっているかもね」


思わず楽しくなって声を上げて笑った

彼の顔が憎々しげに歪んでいる


「じゃあ、また明日ね、志貴。今度こそ、私を殺してくれることを願ってる」


身動きの取れない彼の唇を啄んで、影絵の街に背を向けた











また明日も、月の夜が来ることを願って・・・・・・










(後書き)

初・メルブラ夢!

七夜の口調が全然わからん・・・orz

性能としては私にピッタリなんですけどね・・・・・うーん、上手くいかない